4月、新年度に入って様々な慌ただしさと期待感を持って挑んだONENESS仙台設計企画室の平成30年度ですが昨日就寝しようとした矢先、BS放送だったと思うが建築家「池田武邦」のドキュメンタリー番組が放映されていたのでついつい観てしまい寝不足になってしまいました。
彼は日本に循環型社会を取り戻す為に先人の知恵を借りるという考え方を理念に日本の古き慣習やアニミズム(イギリスの人類学者E・Bタイラー著書『原始文化』)を提唱し地域の復興に尽力されている方です。
彼の自身の道程において戦後の日本の復興に寄与してきて間違いはなかったと自負できるが、それと同時に日本文化において大きな間違いを犯してしまったという疑念抱き余生をその補償に奔走するドキュメンタリーだった。
印象的だったのは息子さんが出てきて幼少の頃から一切父親としての価値観を議論することなく成長したことだった。池田さん自身は若い頃海軍士官として軽巡洋艦”矢矧(ヤハギ)”に乗り込んで、悲惨な太平洋戦争を経験しそのせいか自身の価値観を子孫に伝えてはいけない!と強く思ったそうです。
それから多くの建築に携わり迷いもなく戦後の復興のために日本設計を創設しコンクリートやあらゆる建築素材を駆使し最先端の構造力学を費やし超高層ビルを建ててきたという。
しかし、その為に日本の文化というものも同時に消滅させてしまった罪を背負い、先人の知恵をまた地域に根差した祭事や結界を文化として残していこう!今ならまだ間に合うという危機感を背に地域起こしに奔走しておられるようでした。
コンクリートで出来た建物はせいぜい50年程度ですが伝統建築で先人の知恵を駆使した木造建築は100年以上経っても補修が可能で構造体の基本的な強度は益々上っていくものです。
まさに建築家の神髄のような方だと思いました。
谷崎潤一郎の評論作品である『陰翳礼讃』は建築家として一読は必修であり正に現代の文明の利器と日本人の芸術的な感性を如何に融合していくか?
それはさておき、現代では、とにかく冬の寒さを嫌って寒い冬でもシャツ1枚で暮らせる家が理想の家で、当然ながら暖気を確保する為には相応のエネルギーを要する。さらに人の健康という名分が加えられて「冬を旨とすべし」の家が現代流です。
省エネルギーの性能を高め、家の中の温度を一定に保つならば吹抜けがあっても寒さは感ずることはなく夏には窓を開ければ、吹抜けを通じて風が抜ける家もできる。
もし・・・兼好法師が現代に生きていたとしたら・・・それでも「夏を旨とすべし」と言い続けるかもしれない。
私たちは気づかぬうちに”乾式工法”の住宅があたりまえになってきている。
簡単に言えば接着剤で組みあがられている空間であることです。
気密がアレルギー体質に与える影響は想像以上であるこ気づかなければならない。
F✰✰✰✰(フォースター)という建材やノントルエンと頌っている建材や接着剤、コーキングを使用してもトルエンやキシレン(揮発性化学物質群)が検出される(指針値以上!)のはなぜでしょうか?
1%未満の不純物は未表記扱い(SDS)だからです。仮に350㎡接着剤を使用したとして1%の35㎡未満は何等かの化学成分が含まれているからです。
しかし、材料が瑕疵を造らない性能を有するにはどうしても危険な化学成分は欠かせない。と・・・いうことです。引渡し前には充分換気をして引き渡すように注意しなければなりません。
話はかなりずれてしまいましたが現代における高気密高断熱には落とし穴がありそうです。そして、もっと日本人が忘れかけていた芸術性をもった感性や文化を現代風に融合していけるようにしていきたいと思います。
2018-04-08 家づくりの話