BLOG - ONENESS仙台設計企画室 一級建築士事務所

木造という進化

急に専門的になってしまうが・・・。
接合部のピンと剛は構造的に大きな意味を持つ。これは耐震構造と関係があるが、免震や制震のそれとはまた違う。

”伝統工法が免振構造である”と言い切る方もいらっしゃる。その論点は、基礎に柱勝ちで”ひかり”という加工を施したり、長押が実質的な横架材として作用していることをいうのだろうと思う。どちらかというと”制震的構造”だと思う。

話は戻すが木造の接合部が”剛”に近づけることが耐震性能には近未来木造工法にとって有利なことと思う。もちろん伝統工法の継手や仕口は受け継がれていくべき技術でありそれを継承していくことは大事なことと思う。

古民家再生や文化財家屋や施設を後世に残す為に修補していくことはとても大事なことである。

驚くべきは地業工事であるが、割栗地業で”木端立て”というのがあるが、これが凄い!
軟弱地盤に家を建てるすばらしい手法であると感心する。

またしても話は接合部のピンと剛の話に戻すが、材料には定尺というのがある。材料の搬入の為に長さが決まっているというもの。その材料を切り回し、繋いで出来上がっていくのでしょう。

そこで継手や仕口を組み合わせて行く訳ですが、建築基準法でも耐震性の為の筋交は圧縮100%受ける材料強度が樹種によって決まるわけです。

以前、一級建築士を受験しようとしている方に”木材は本来は倒木で繊維が切れていなければ「引張材」として使用すべきものである。”と・・・言ったら”あなた基準法。知ってんの~ぉ?木材は圧縮材として使用すべし!と書いてあるではないですかぁ!!”と馬鹿にされた。

じゃ・・・なぜ?「引張材」として(小屋組の雲筋交はあるがぁ・・)使用されないのか?

それは接合部の止め方に他ならない。釘やボルトで止めても繊維方向支圧破壊されるからです。
接着剤が近未来木造だというのはそこの処なのだと思ってください。私が2x4工法に出会って合理的な構造思考に考えされることが多かった。周囲の大工の中でも”釘をバスバス打ち付けた情緒の無い建物”と・・評する方も多かった。

情緒・・・?ん・・・?複雑な気持ちで聞いていた。ラフタートラス的なものでは、合掌造りがあるが全く異なるものである。しかし、古民家再生では”タイバー”を目立たぬよう設置していて合理的に処理しているものもある。

今回、私が文化財修補に使用しようと思うのは”ホームコネクター”という材料です。集成材用ではなく、木材の真物の接合に使用しようというものです。他の設計事務所で鉄筋を接合部に入れて接着材で固めようとする試みも興味深いものを感じます。今後、副業?ライフワーク?としてこの進化を見極めていこうと思います。

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